アフターライフ

 生きているのか死んでいるのか最後まで良く分らず、どうやら生きていたようで、しかし、恋人の青年にようやく助けれられめでたしめでたしというストーリーが見たかったわけではないが、それとは逆の結末を見せられると、その根底にある死生観というものの見当がつかず、サイコな中年男のキリストのナザロの復活への言及あたりをヒントにして、キリスト教的終末観の歪みのせいにして済ませたいが、そうもいかない。
 要は、生きる価値を知る(知らせる)ために、死んだように生きている人間を殺していく、連続殺人犯たる葬儀屋の話らしいが、生き埋めにされるという話がしばしばホラー映画のネタになるのは、やはり土葬民族に潜在する恐怖感の表れだろう。かといってわれわれのような火葬民族に生きたまま焼かれる恐怖が潜在している訳でもないし、むしろ、西欧人が一方で火葬をも嫌うのは、魔女を火あぶりした過去の悪行のトラウマらしい。

2009年 米 アニエシュカ・ヴォイトヴィッチ