2013-01-01から1年間の記事一覧

ヒューゴの不思議な発明

ぴんとこない邦題だが、原作小説の邦訳からしてそうなっているので、映画輸入者の罪ではない。ヒューゴは組み立て乃至修理をしているのであって、発明はしていない。発明したのはヒューゴの父であり、ルミエール兄弟であり、ジョルジュ・メリエスである。 し…

マーガレット

見ていて不満とイライラが蓄積する映画。よそ見をして人をひき殺したバスの運転手を告発するのはよいが、そもそも運転手によそ見をさせたのは自分であり、その自分への追及がどう見てもおざなり。周囲の関係者もあまり彼女を責めないのはどういうわけだ。運…

マーラー

基本的に語り口の良い映画のような出だしだったが、ウィーン音楽界のボス、コジマ・ワーグナーに取り入るため、ユダヤ教からカトリックに改宗するマーラーの内面をカリカチュア的に描いたシーン、ハーケンクロイツの元で、コジマに鞭打たれたり、ユダヤの星を…

RONIN

街中のカーチェイスが見どころで、一通を逆走するシーンなどいったいどうやって撮影したのかと思わせるが、それにしても巻き添えで一般市民がバタバタ死んでいくという不運が、精神衛生上良くないレベルまで撒き散らされている映画。こんなに一般市民を殺す…

ロック・オブ・エイジズ

てっきり、トム・クルーズが若気の至りで出演してしまった映画かと思いきや、昨年度製作というバリバリの近作だった。五十歳のトムの容色はさすがに衰え、そのデブッぷりにますます磨きがかかったアレック・ボールドウィンも出ていた。往年の美男もこうなると…

寅次郎忘れな草

「寅さん」は時々見たくなる映画であることには違いない。賠償千恵子の優雅な加齢ぶりや前田吟の実直な工員ぶりなどがその誘因だ。しかし肝心の寅次郎、彼だけは何度見ても好きになれない。ソトヅラがいいだけのこの男に嫌悪感がいや増すだけ。旅先の女には…

終戦のエンペラー

敗戦記念日を狙って、またイヤな映画がやってくる。「終戦のエンペラー」。町山智浩がこの映画ををちゃんと「良くない映画」だと言ってくれたのはさすが。事実を装いつつ完全にインチキな話にしているこういう映画が最もタチが悪い。原作となったのは岡本嗣…

ビヨンド・サイレンス

坦々とした映画だが、両親が聾者だという、特にその父親に共感できない。音楽に夢中になり読み書きをおろそかにする娘を心配するのは当然だとしても、結果的には音楽学校行きに難色を見せ、身近に置いておきたいという欲求が表面に出ると、娘の身辺に関する…

マイ・ネーム・イズ・ハーン

インド映画、恐るべし。「踊るマハラジャ」だけがインド映画ではない。しかし、主人公を実際にオバマ大統領に会わせてしまう話にするのはどうか。これでは「ナンチャッテ」映画に陥ってしまいかねないので、なくてもがなのシーン。アスペルガー症候群である…

フローズン・ドリーム  煽情の殺人

見る予定のない映画だったが、どこかで見たことがある女優は、ソーラ・バーチ。で、途中からながら最後まで見てしまう。大学をやめて売春婦になった女が保険金目当てに情人を毒殺した実在の事件の映画化らしいが、バーチのその演技は、「パトリオット・ゲー…

菊豆(チュイトゥ)

名匠チャン・イーモウの手になるこの映画は途中から見ただけだが、それで十分。1920年という時代設定も合わせて、なんだが中国の民俗がひたすら汚らしく見えるだけの映画だった。これが愛欲映画であるせいでもある。汚い野良着を着た女と貧弱な体をした男と…

ミスター・アーサー

主演のラッセル・ブランドとかいう男、殆んど見るに堪えずという容姿外見なので開巻一番で絶句、須臾にして観劇中止。声がクリス・タッカーの物まねかと思うほどカン高く、ミバも極端に悪い。どう見てもただの浮浪者にしか見えないけれど。オリジナル(1981年…

ツリー・オブ・ライフ

これがホームドラマなどではなくガチガチの宗教映画だったので驚いた。 ブラッド・ピット扮する父の抑圧により、弟に攻撃性を発する兄(ショーン・ペン)が描かれる。その弟は後年死んでしまう(死の状況が全然知らされないので良く分らないが、自殺かも知れない…