2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

華麗なるギャツビー 1974年版

ディカプリオ版では、女性への夢に殉死するギャツビーにそれなりに感動したが、こちらのレドフォード版を見てから思い返すと、その感動にはやはりディカプリオの「ガキ顔」が貢献していたと思い当たる。一方のレドフォードは今から見ると驚異的に若い頃に撮…

インポッシブル

スマトラ沖地震で津波に襲われた四人家族の生還を描いた、勇気と希望と絆を謳う「感動作」らしく、この手の感動作は、今時は当然、例外なく「実話に基づく」ことになっている。もはや虚構には遊戯の悦楽しかなく、人間を感動させる力などない、ということが…

椿三十郎

織田裕二の三十郎が、三船敏郎そっくりに仕上がっている。三船の演技の完全なコピーのようだ。室戸半兵衛もなかなかに良い。一方、あの二枚目だった風間杜夫がすっかり三枚目もいいところに。これで伊藤雄之助役は誰がなるのかと思いきや藤田まこと、で納得…

ナイアガラ

何かこういう著名な観光地をタイトルにした、悲劇的な恋愛映画でも見たいなと思ったが、それはないものねだりというもので、これはモンローのセックス・アピールを頼みにした、ただの娯楽サスペンス映画だ。しかしモンローが悪役という、これはむしろモンロ…

モブスターズ/青春の群像

ついに仇を討たれ、窓から突き落とされて歩道に脳漿をぶちまけるという憂き目に会うファレンザーノ親分はいかにも憎さげに描かれている。レストランで蜂の巣にされるマッセリア親分もまたしかり。一方で暗黒街をのし上がるルチアーノ、ランスキー、バグジー…

慰めの報酬

初めて「007」という物語に触れたときの衝撃は、平和な日常の底に常に戦争が継続しているという事実からのものだろう。「殺しのライセンス」という概念は、平和ボケした日本人には殆どパラダイムの転換レベルの概念だった。「殺人」というものが反体制的…

NINE ナイン

映画についての映画という再帰的映画。いかんせん話が古すぎて、その古すぎること昔の日本の私小説の如し。日本の私小説作家は、自分が芸術家であることを証明するということだけのために、自ら放蕩生活をおくってそれを綴るが、それはフェリーニが「8 1/2…

ボーダーライン セックス依存症だった私へ

思っていたとおりヒドい映画。これにヒドい邦題がついてヒドさ倍増。一応早回しで結末まで見届けるが、性的放蕩の果てに真実の愛を見つける、だって。その凡俗さに胸が悪くなる。性的放蕩と言ったって、いつも「奥さんと別れて」と言うし、「愛しているとい…

コネクテッド

ハリウッドの「セルラー」の香港・中国版リメイク。香港版のほうがエグいが頑張っているかも知れない。しかし、人間というのは身内というものを愛しながら、それゆえに苦しめられるということを享楽しうるのだ。弟がたまたま殺人現場を目撃した為に、とんで…

陪審員

焦点がぼけた冗長な映画。裁判モノであり、マフィアモノであり、それに最近流行のストーカーモノである。結局ナニモノなのか良く分からない映画になっている。最後はグァテマラくんだりまで行って対決するのだが、なぜグァテマラなのか良く分からない(その村…

風とともに去りぬ

今回、初めてまともに通しで見てみた。見ればやはり通俗小説であるに過ぎないが、このような小説を原作にして、巨額の制作費をつぎ込んだりできた時代はすでに夢のように遠い。アカデミー賞などアメリカの自画自賛に過ぎないから、どうでもいいようなものだ…

エンド・オブ・ホワイトハウス

「スカイフォール」などよりはるかに話のスケールはでかい。かの007最新作は、鳴り物入りで登場した割には、組織に切り捨てられたマザコンのエージェントが、女長官に復讐するという、ちょっとみみっちい話だった。まあ、アデルの歌とダニエル・クレイグ…

男はつらいよ 旅と女と寅次郎

「寅さん」は基本的に嫌いだし、千円超のDVDなど滅多に買わないし、さらに邦画のDVDは「忠臣蔵」モノくらいしか買ったことがないのに、何とこのDVDを買った。最近都はるみに夢中なので仕方がない。こんなことならWOWOWで「寅さん」を全作放映…

女相続人

富豪の一人娘キャサリン(オリヴィア・デ・ハビランド)と野心家の男モーリス(モンゴメリー・クリフト)。遺産目当てのモーリスにとってはキャサリンの垢抜けない外見など関係ない。彼は、キャサリンの父親に反対されて、結婚するなら娘には遺産はやらないと言…

ベティ・サイズモア

全体的にハッピーエンドの軽いコメディーなのに、物語の発端が殺人、それも単なる殺人ではなく、頭の皮を剥がされての殺人というのは、端的にアンバランスである。そのシーンにショックを受けて、これは案外ハードボイルドかもと思って身構えて見続けても、…

ハード・ラッシュ

ハード・ラッシュってどういう意味だろう。通勤時間の埼京線のようなイメージか。 マーク・ウォルバーグはマッチョ系の俳優だが、時に知的な深い声を出すこともあって、私の好きな俳優のひとりだったが、あるとき「アクターズ・スタジオ」のインタビュー番組…

刑事マディガン

これといって曲のない、素直なストーリー運びの警察物映画。しかし久々に、刑事と大都会の夜、という警察物映画のパセティックな魅力に触れる思いがした。 日本なら大事件だが、アメリカでも警官が拳銃を奪われるというのは大事件なのだろうか。別に奪わなく…