2014-01-01から1年間の記事一覧

カルメン故郷に帰る

高峰秀子さんが脚を大胆に見せて奮戦しているが、1951年という年代を考慮しても、全体的に歌やダンスなどのパフォーマンスのレベルが低い。もっとも、踊子たちが自ら「芸術」と信じている歌や踊りの実相を示して、ペーソスをかもし出すという話なのだか…

デュー・デイト

「デュー・デイト」(この後、出産まであと5日ウンタラカンタラという長い説明的な副題がつく)、これは実にくだらない映画で、残り10分くらいのところまで我慢していたが、ついに堪らず早送り。爆笑ロードムービーとか言っているが、確かに開巻4、5分のところ…

砲艦サンパブロ

初見の時はキャンディス・バーゲンの美貌が眩しく、水兵姿のスティーヴ・マクィーンの無駄のないたくましさに惹かれもした。しかしその映像美に心ゆくまで堪能できなかったそのわけは、東洋人代表として「マコ」が出ていたからだ。恰も鏡を見るように彼の顔…

ハノーバー・ストリート 哀愁の街角

見る気もあまりないが、たまたまた録画しておいた映画で、ほかに見るものがない日、仕方なくこれを見た。 ただの不義蜜通の話を恋愛モノにして、交情の場面ではひたすら天上的な音楽が流される、という見るに耐え難い映画。ただイギリスのスパイの話が絡ませ…

飢餓海峡

原作は水上勉の傑作小説なので当然見たいと思うが、主演が三國連太郎なので、彼のアクの強い演技が好きになれない自分はすこし躊躇した。しかし、伴淳三郎の刑事は多分一見の価値があるだろうと思い、結局見ることにした。 見れば悲劇の女性八重を演ずる左幸…

ロシアより愛をこめて

007映画の傑作とされるこの映画、主題歌も好きだし、イスタンブールやベニスなど魅惑的な街が出てくるので、時々眺めたくなる映画だ。 今回眺めてみたら、ボンドが窮地を切り抜けるシーンは、相手が撃つ前にいろいろ不要な時間をかけてくれたので幸運にも…

オーストラリア

なぜか見る前から嫌な予感がして、見るのを避けていた映画。男優・女優ともそれほど好きではないし。男優は最近ただの筋肉標本のようになってしまって色気がないし、女優も昔は絶世の美女の一人と思っていたのに、最近はヘンな顔に見えて仕方がない人。 町山…

渇き。

1999年の「シュリ」以降、韓流ブームに乗って韓国映画がどっと入ってきた。最初の頃は、感覚的に斬新な映画もあり、何作か見ていたが、次第にそのエグさに閉口し、敬遠するようになった。韓国の反日大統領の行動が目にあまるようになってからは、完全にシャ…

華麗なるギャツビー 1974年版

ディカプリオ版では、女性への夢に殉死するギャツビーにそれなりに感動したが、こちらのレドフォード版を見てから思い返すと、その感動にはやはりディカプリオの「ガキ顔」が貢献していたと思い当たる。一方のレドフォードは今から見ると驚異的に若い頃に撮…

インポッシブル

スマトラ沖地震で津波に襲われた四人家族の生還を描いた、勇気と希望と絆を謳う「感動作」らしく、この手の感動作は、今時は当然、例外なく「実話に基づく」ことになっている。もはや虚構には遊戯の悦楽しかなく、人間を感動させる力などない、ということが…

椿三十郎

織田裕二の三十郎が、三船敏郎そっくりに仕上がっている。三船の演技の完全なコピーのようだ。室戸半兵衛もなかなかに良い。一方、あの二枚目だった風間杜夫がすっかり三枚目もいいところに。これで伊藤雄之助役は誰がなるのかと思いきや藤田まこと、で納得…

ナイアガラ

何かこういう著名な観光地をタイトルにした、悲劇的な恋愛映画でも見たいなと思ったが、それはないものねだりというもので、これはモンローのセックス・アピールを頼みにした、ただの娯楽サスペンス映画だ。しかしモンローが悪役という、これはむしろモンロ…

モブスターズ/青春の群像

ついに仇を討たれ、窓から突き落とされて歩道に脳漿をぶちまけるという憂き目に会うファレンザーノ親分はいかにも憎さげに描かれている。レストランで蜂の巣にされるマッセリア親分もまたしかり。一方で暗黒街をのし上がるルチアーノ、ランスキー、バグジー…

慰めの報酬

初めて「007」という物語に触れたときの衝撃は、平和な日常の底に常に戦争が継続しているという事実からのものだろう。「殺しのライセンス」という概念は、平和ボケした日本人には殆どパラダイムの転換レベルの概念だった。「殺人」というものが反体制的…

NINE ナイン

映画についての映画という再帰的映画。いかんせん話が古すぎて、その古すぎること昔の日本の私小説の如し。日本の私小説作家は、自分が芸術家であることを証明するということだけのために、自ら放蕩生活をおくってそれを綴るが、それはフェリーニが「8 1/2…

ボーダーライン セックス依存症だった私へ

思っていたとおりヒドい映画。これにヒドい邦題がついてヒドさ倍増。一応早回しで結末まで見届けるが、性的放蕩の果てに真実の愛を見つける、だって。その凡俗さに胸が悪くなる。性的放蕩と言ったって、いつも「奥さんと別れて」と言うし、「愛しているとい…

コネクテッド

ハリウッドの「セルラー」の香港・中国版リメイク。香港版のほうがエグいが頑張っているかも知れない。しかし、人間というのは身内というものを愛しながら、それゆえに苦しめられるということを享楽しうるのだ。弟がたまたま殺人現場を目撃した為に、とんで…

陪審員

焦点がぼけた冗長な映画。裁判モノであり、マフィアモノであり、それに最近流行のストーカーモノである。結局ナニモノなのか良く分からない映画になっている。最後はグァテマラくんだりまで行って対決するのだが、なぜグァテマラなのか良く分からない(その村…

風とともに去りぬ

今回、初めてまともに通しで見てみた。見ればやはり通俗小説であるに過ぎないが、このような小説を原作にして、巨額の制作費をつぎ込んだりできた時代はすでに夢のように遠い。アカデミー賞などアメリカの自画自賛に過ぎないから、どうでもいいようなものだ…

エンド・オブ・ホワイトハウス

「スカイフォール」などよりはるかに話のスケールはでかい。かの007最新作は、鳴り物入りで登場した割には、組織に切り捨てられたマザコンのエージェントが、女長官に復讐するという、ちょっとみみっちい話だった。まあ、アデルの歌とダニエル・クレイグ…

男はつらいよ 旅と女と寅次郎

「寅さん」は基本的に嫌いだし、千円超のDVDなど滅多に買わないし、さらに邦画のDVDは「忠臣蔵」モノくらいしか買ったことがないのに、何とこのDVDを買った。最近都はるみに夢中なので仕方がない。こんなことならWOWOWで「寅さん」を全作放映…

女相続人

富豪の一人娘キャサリン(オリヴィア・デ・ハビランド)と野心家の男モーリス(モンゴメリー・クリフト)。遺産目当てのモーリスにとってはキャサリンの垢抜けない外見など関係ない。彼は、キャサリンの父親に反対されて、結婚するなら娘には遺産はやらないと言…

ベティ・サイズモア

全体的にハッピーエンドの軽いコメディーなのに、物語の発端が殺人、それも単なる殺人ではなく、頭の皮を剥がされての殺人というのは、端的にアンバランスである。そのシーンにショックを受けて、これは案外ハードボイルドかもと思って身構えて見続けても、…

ハード・ラッシュ

ハード・ラッシュってどういう意味だろう。通勤時間の埼京線のようなイメージか。 マーク・ウォルバーグはマッチョ系の俳優だが、時に知的な深い声を出すこともあって、私の好きな俳優のひとりだったが、あるとき「アクターズ・スタジオ」のインタビュー番組…

刑事マディガン

これといって曲のない、素直なストーリー運びの警察物映画。しかし久々に、刑事と大都会の夜、という警察物映画のパセティックな魅力に触れる思いがした。 日本なら大事件だが、アメリカでも警官が拳銃を奪われるというのは大事件なのだろうか。別に奪わなく…

戦争と平和

風邪気味の中、これまでも何回か放映されているこの映画を見た。一度もまともに見たことがなかったし、今回もサワリだけ見ようと思っていたのに、見出すと結構面白く、3時間半のこの映画を最後まで見終わるという、病中の偉業を達成した。病気のときはいつ…

愛さえあれば

このタイトルとピアース・ブロスナンとの組み合わせでは、おのずと敬遠せざるを得ない映画だが、たまたま途中から見たら意外といい感触なのでそのまま見続けた。何と言ってもブロスナンが、得意のボンド風の二枚目風の世之介風ではなく、生の感情を出す演技…

裸足の伯爵夫人

古き良き時代、上品でエロティックな邦題があった時代の映画なのだが、ただしこの邦題は原題を忠実に翻訳したもの。 しかし見てみると、ハンフリー・ボガートは貧相だし、エヴァ・ガードナーも騒ぐほどの美人でもないし、性的フェロモンだけが売り物の若きロ…

夕陽のギャングたち

イタリア映画で、マカロニウェスタンかと思いきや、内容はかなり真面目な革命の物語で、それでいて日本語のタイトルはギャングたち、になっていて、ワケが分らない。2時間40分という長尺の映画で、冒頭のロッド・スタイガーの放尿のシーンとか、ジェーム…

ジュリア

何度か見る機会があった映画だが、未だかつてまともに見たことがなかった。今回、またまた見る機会があったわけだが、やはり映画の世界にうまくはいりこめなかった。レッドパージの際の、リリアンとダシール・ハメットの身の処し方は立派なのだろうが、ジュ…