2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧
劇中、娼婦とカトリックの教会で結婚式を上げ、子供まで設けたクラレンス公アルバート・ヴィクター>が出てくるが、公は「英国王のスピーチ」のジョージ六世の伯父に当たる。即ち父君ジョージ五世の兄なのだ。公は、かつて切り裂きジャック本人に擬せられたこ…
ジョージ五世の皇太后メアリーに扮した女優、どこかで見た顔だと思ったが、「ライムライト」のクレア・ブルームだとは気づかなかった。兄のエドワード八世、弟がジョージ六世、その娘が現在のエリザベス女王、と英王室の系図の復習ができる映画。 その英国王…
嬉しいストーリーの映画ということだろうが、ボガートとヘプバーンならともかく、リメイク版で、同時代を生きる俳優に演じられては、このお伽話に素直にのめりこめない。兄ライナスのハリソン・フォードはまだしも、弟デイヴッドのグレッグ・キニアはウイリア…
ラストのモーガン・フリーマンの語りが素晴らしい。ジュワタネホの海岸は光り輝いていた。これはすべての罪の償いが終った後、男たちが見た太平洋の輝き、その耀きが照らし出した追憶の物語だ。だから二十年間の服役も、男達に強姦されたことも、独房に閉じ…
1945年当時のアメリカの豊かさに改めて一驚する。眉毛のおばさんだと思っていたジョーン・クロフォード(彼女を見たのは「大砂塵」くらいか)の美人ぶりにまた一驚する。まるで沢尻エリカみたいな、わがまま至極の娘役のアン・ブライスも良い。どこかで見た女…
アメリカにおける恐るべき人種主義の惨事。人間が真にリベラルになるためには幾多の流血が必要である。西洋人がその先進的なリベラリテイを獲得するまでにはおそらく他を摩する流血の堆積があるのだろう。日本はもとより流血が少ないが、現在の民主主義の不…
奇妙な映画。なにしろ「デリカテッセン」を作った監督のコンビだ。マッド・ドクターがクローン人間を作る。そのクローンは夢を見ることができず、老化速度が速い。そこで他人の見る夢を盗むことにするが、どれもこれも悪夢ばかり。純真無垢な子供ならば、夢…
女主人公とその女友達とのあけすけな会話を聞いていると、つくづく女性を「愛する」理由などこの世のどこにもないという気がしてくるし、その愛らしさで父親を浮気から思いとどまらせるはずの娘役の女優も肉体的にも精神的にも全然可愛くないし、出てくる男…
テーマ音楽は高名な「ララのテーマ」だが、それにしても、仮にも人間の生涯の物語が、このような抒情的なメロディーのテーマ音楽とともに語られるというようなことは、もう二度とないような、歴史的な、一回的な、不可逆な出来事だったような気がする。今や…
先日物故したホイットニー・ヒューストン主演の映画。彼女を始め主人公たちはすべて黒人で、白人は完全に脇にのけられている。しかも出てくる黒人は弁護士であったり会社社長だったりとエリートが多い。離婚して会社の秘書(白人)との恋愛に走る男。一方中身…
意味がありそでなさそうな邦題だが、原題とは似ても似つかない。当然原題(White Man's Burden)の方が内容に沿っていて意味深長である。 白人と黒人の地位、立場が逆転している世界。裕福で社会的地位もある黒人たちが支配する社会の中で、白人主人公が理不尽…
見るも特段の感慨なし。ヒロインたる映画女優の萌子(藤谷美和子)がただボーっとしたバカにしか見えないのでは話にならない。ホテルのレストランで何とかというシャンパンの銘柄を指定して通ぶるのはいいけれど、試飲して鷹揚にボーイにうなづくところが、単…
開拓時代のアメリカでフランスとイギリスが争った「フレンチ・インディアン戦争」。イギリス人とフランス人が、インディアンと彼らが、またインディアン同士がなぜ殺しあわなければならなかかったのか、とにかく殺戮の必然性というものがリアルに伝わってく…
結構スゴい映画だけれど、いくらジョン・ローンでも女形はムリではないか。絶頂期の梅沢冨美夫にでもやらせたかった役だ。フランスの外交官ジェレミー・アイアンズの上司である大使、実はフランス情報部員の、抜け目なく冷酷なしかし洗練されたキャラクター…
ヘンな映画。だれる、だれる。フランス映画だからしょうがないな、と思っていたが調べてみるとアメリカ映画だった。監督はルネ・クレマンだし音楽はフランシス・レイだし、ただのオッサンにしか見えないロバート・ライアンがフランス語をしゃべっているし、…
ユーゴ紛争を描いた映画は他に「アンダー・グラウンド」(1995)、「ウェルカム・トゥ・サラエボ」(1997)、「戦場のジャーナリスト」(2001)があるが、未見のこれらを除いた中で、「セイヴィア」はもっとも無惨な映画だった。実はこの映画のことはほとんど忘れ…
見終わってさしたる感銘もなし、と消去してしまったが、後でネットであらすじを見たら、どうやら肝腎のところを見落としたようだった。ウツラウツラ半覚半醒で見ていたため。だいたい内戦から十五年経過しているとは言え、早くも「希望」などと言い出す邦題…
紛争というものが本来もっている緊迫感が、この映画からは奇妙に伝わってこない。それは映画としての描写上の失敗なのか、それともこの紛争自体が、その傍らに日常の時間を残しつつ、鼻歌混じりで機関銃を撃っているうちに、気がついたら屍の山を気づいてい…
この映画からはボスニア紛争の凄愴さのほんの一端しか伺えないが、その一端だけでも国連防護軍UNPROFORの政治的、衆議的無力ぶりとの対比が際立って見える。 ボスニアとセルビアの兵士が塹壕の中で対峙するが、すでにそこには「太平洋の地獄」における三船敏…
ボスニア・ヘルツェゴビナのジェノサイドを極めて衛生的に表現したテレビ映画。検察官に扮したブノワ・マジメルの美貌も、この衛生化という偽装に加担しているかのようだ。大勢の子供、女性、老人が虐殺されたというその実相を誰が直視しうるだろうか。映画…
つまり、すごくフランス的な映画で、日本人もつらいがフランス人もつらそう、という映画。男が怖くてホモと同居しているメーキャップ・アーティストがヒロイン。休暇中に預けた猫が行方不明に。猫を探すために組織的に活動する、昔パリジェンヌだったおばあ…
イタリア人でカトリックのマストロヤンニを除いて後はすべてユダヤ人という設定。プロテスタントというアメリカの主流派がもう主流ではないような錯覚に陥る。そのイタリア人のマストロヤンニがシャーリー・マクレーンに恋をして愛を捧げるという状況設定に…
当初、人間関係があまりに剣呑なのは、別にスーパーの店員が役人に反感を持っているわけでもなく、民間企業との人事交流というプロジェクトを馬鹿にしているわけでもない。ただそれは、後々の宥和を効果的にするためにそうしているだけである。スポーツ映画…
カトリーヌ・ドヌーヴ67歳。(まだまだ)美しい。その娘役の女優や夫の浮気相手の秘書役の女優などより、赤いジャージ姿の彼女の方がはるかにセクシーなのはさすがだ。21歳で世界的女優となった「シェルブールの雨傘」以来46年の芸歴で、私生活にはいろいろあ…
カトリーヌ・ドヌーヴ66歳。まだまだ全然美しい。カトリーヌ・ドヌーヴの母親のその娘のマリナ・ハンズ、親子という設定なのにあまりにも似ていなすぎる。祖母の若い頃に扮したマリ=ジョゼ・クローズが美しい女優だっただけに、その点に引っかかってしまった…
カトリーヌ・ドヌーヴ59歳。この年齢で、実に堂々と美しい。女たちがすべて色違いの原色の衣装をまとうが、舞台ならともかく映画ではなんだか書割を見ているようで滑稽な感じ。もちろんミュージカルだから、「滑稽」と感じるような感性は封じ込めて見る必要…
カトリーヌ・ドヌーヴ24歳。大昔、公開時にスキャンダルとなった映画ではなかったか。今見るとそれなりに古めかしい。その頃映画雑誌の表紙を飾った彼女の名は、私にとって泰西の美女の代名詞となったくらいだが、不思議なほどリアルタイムでは彼女の映画を…
カトリーヌ・ドヌーヴ22歳。妖艶な美女であるべき彼女が、たかだかシシー・スペイセク的役どころに就いているという、もったいない映画。あの時代にはこの映画は多分に批評的であり映像的にも斬新であったのだろうが、現在では、これはただの通俗的サイコ・…
ウィリアム・ホールデンの美貌をアテにして見たのだが、今回それほど美貌ぶりが出てないのは兵隊カットのため彼の波打つ美髪がないためか。しかしこれでアカデミー主演賞を取った由である。非常に若いピーター・グレーヴスが出ているのが一興。 この収容所は…