2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

聨合艦隊司令長官山本五十六 太平洋戦争70年目の真実

70年目の真実、って何かと思ったら、実は山本五十六が誰よりも日米開戦に反対していた、ということだった。陸軍悪玉/海軍善玉論というそもそもの虚構をさらに分断して、海軍の中でも山本が孤立していたという図だが、果たしてどうだろうか。「護憲平和教…

噂の二人

メアリーという少女の悪役ぶり。子供ながらにして、まるで尼崎事件を思わせるような他人の支配ぶりを見せる。他人の弱みを握り、脅して自分の言いなりにさせるという手法。本作はカレン・バルキン(13)という子役で、ふて腐れた顔が十分憎たらしいが、同じ原…

ル・アーヴルの靴磨き

ル・アーヴル。スーパーというものがなく、近所のパン屋八百屋で買い物をするような街―パトリ(住民の誰もが固有で、入れ替え不可能な郷土)が残っている街―の住民が不法入国の黒人少年に示す善意。最後は警視までもそれに感化されてしまう。その善意の対価で…

くるみ割り人形

エル・ファニングは十分可愛いのに、オリジナルのハツカネズミをなぜかドブネズミにしてしまったのが敗因か。ドブネズミではその親玉をジョン・タトゥーロにするしかない。中途半端なミュージカル。編集も良くない。それにあまり意味がないであろう3D。決…

サウンド・オブ・ミュージック

「サウンド・オブ・ミュージック」のモデルとなったトラップ家の訃報が出た。次女マリア・フランツィスカ・フォン・トラップ。2014年2月18日他界、享年99歳。彼女はモデルとなった兄弟姉妹の最後の人だったらしい。生年は1914年、1938年のナチスによるオース…

不毛地帯

昔見たときから、主人公壱岐正=瀬島龍三の非情さが気になっていた。冒頭、終戦後に、壱岐が自分の家庭も顧みずにかつての部下達の職探しに奔走する温情家として描かれるが、その後自ら商社に就職して戦闘機導入商戦に巻き込まれる(自ら引き起こす ? )と、そ…

フリーダム・ライターズ

定型的感動物。しかし高校も卒業できない家系から大学へいけるようになることが、アメリカにおいて何ほどのステップアップになるのか。それだけの話が感動物になるくらいアメリカというのは閉塞した社会なのだと、逆に知らされる。大学にいけるくらいの教養…

おとなのけんか

面白い発想であるが、映画の愉楽はどこにもなし。原作が戯曲だと、どうしてもこうなる。歯をむき出しにして自己主張するアメリカ人にただ辟易するだけ。それがまたあのジョディ・フォスターであるだけに。融通無碍のクリストフ・ヴァルツ、盛大にゲロをする…

永遠の0

小説のほうはその文章になじめず、早々とこれは映画で代替すべしという結論になって、本を閉じ映画館に行く。 映画が始まると、かつて戦争というものに日本の青年たちが従事していた、というそのことだけで、目頭が熱くなってきた。まずい、これでは小説をス…

新網走番外地

「ブラック・レイン」(1989)や「ミスター・ベースボール」(1993)など高倉健が出演した洋画について以前悪口を書いた。これらの映画で「純日本人」を演ずる高倉がただの「デクノボー」にしか見えない、と。恰も高倉健が出演した某社CMの「自分、不器用ですか…

フェイズⅣ 戦慄 ! 昆虫パニック

真面目で正統的なSF映画だった。邦題は例によってB級映画っぽく、実際にも低予算だからB級と言えばB級だけれど、内容は至極真面目である。真面目すぎて少しテンポが悪いくらいだ。しかし実写で捉えた蟻の生態はなかなか凄い。 このタイトルであるけれど、テ…

フェーズ6

最終の戦勝国アメリカで作られた映画だが、すでに戦争に勝利したという資源は使い果たし、人間相手に続けられた次なる戦争も不調続きなので、やむなくウィルスを敵に設定して、どのみち戦いを強いられる人間という不朽の世界観を刷新していく。ここにはすで…

ピクニック at ハンギング・ロック

冒頭部の少女たち(と言ってもカレッジの学生だが)の描法の美しさに心を奪われたが、ピクニックの段にいたる頃には、殊に屋外のそれはごく並の画像になってしまう。ストーリーも良く分らない。分らないが実際にあった事件とあっては、孤児の生徒が死んだり、…

ホワイトナイツ  白夜

ジェラルディン・ペイジ、ヘレン・ミレン、イザベル・ロッセリーニ、と女優陣が結構豪勢。 そしてKGBの大佐に扮した味のある男優は、映画監督でもあるイェジー・スコリモフスキという風。彼が、バレリーナの亡命を阻止できず、万事窮したと見ると、一転して…

イップマン 序章/葉問

ブルース・リーの師匠たるイップ・マンの伝記的( ? )映画。正編(序章)では日本軍が、続編(葉問)ではイギリス人がそれぞれ人非人として描かれている。少なからぬ日本人はこれを見て不愉快に感じるだろうが、英国人は多分映画だからと全く無視するだろう。この…

ミラル

パレスチナの孤児のために学校を作ったヒンドゥという女性の、偉大というもおろかな英雄的行為を描く。人類に希望があるとしたら、それは確かに教育であるが、壟断されている民族に教育を与え、復讐ではなく共存の道を見つけさせるという営為は、敵からでは…

ビリー・バスゲイト

再見。ほとんど内容は忘れていた。ニコール・キッドマンやブルース・ウィリスが出ていたことすら忘れていた。もちろんスティーヴ・ブシェミなども。それほど小男ダスティン・ホフマンの凄みが印象的だったのか。キッドマンはフルヌードで出ていたにも係わらず…

シャーロック・ホームズの素敵な挑戦

ワトソンがロバート・デュヴァルというだけでこれは買いでしょ。おまけにモリアーティがローレンス・オリヴィエときてはもう見るっきゃない。さらにアラン・アーキンがフロイト博士に扮するらしい。しかし、話はトルコ人が見たら噴飯モノと思うかもしれない…

無頼の群れ

昔、西部劇を見るときの楽しみだった、荒野の中で陽射しと風を受けて生きている人間や、砂と汗にまみれたその服などから感じていた官能的な美を、努めて感じようとして観たが、やはり、もうそういう映画的官能は甦ってこない。 ヘンリー・シルヴァの怪異な容…

失われた週末

アル中の男の苦悩と更正を描き、作品賞その他アカデミー賞を四つ与えられた映画。脇役としてしか知らなかったレイ・ミランドは、もともと主役を張る美男ということだったらしく、ロナルド・レーガンの妻だったジェーン・ワイマンも美女ということだったらしい…

裸のジャングル

相当ショッキングな映画だが、昔の映画なので弁えがあり、残酷なシーンは決して直接は見せないことになっている。しかし象を殺しまくり、その解体シーンまで見せてくれ、猛獣が捕食するシーンもふんだんにある。アフリカ現地人の役でアフリカン・アメリカンと…

アメリカン・ハッスル

「観客も騙される」という事前情報から、「スティング」を見たときのようなカタルシスをこの映画に期待したが、あまり爽快感はない映画だった。「スティング」の詐欺師は一種の義賊のように描かれていたが、この映画を見ると、昔も今も詐欺というのは、「振…