隠された日記 母たち娘たち

 カトリーヌ・ドヌーヴ66歳。まだまだ全然美しい。カトリーヌ・ドヌーヴの母親のその娘のマリナ・ハンズ、親子という設定なのにあまりにも似ていなすぎる。祖母の若い頃に扮したマリ=ジョゼ・クローズが美しい女優だっただけに、その点に引っかかってしまった。キャスティングににそこまで求めなくていいし、ハンズも良く見ればきれいな女優なのだが、序盤のダルい展開と、この親子の似ていなさのせいで物語にうまく入り込めなかった。
 祖母  家庭に閉じ込められ、よき母よき妻であることのみを求められた女性
 母   医師
 娘   キャリアウーマン
 となっていて中間の母親ドヌーヴが母にも娘にも立ち去られて、心が硬化しているという構図。
 この映画を見ると、結婚という形態で男性が女性を支配しつくしていたのはついこの間(1950年代)の話であることが分るし、三代をこうして辿ることは、そのまま女性解放史の様なもので、そのこと自体は喜ぶべきだと思う。しかし、この話の祖母のケースは少し極端すぎる。映画では明示されてないが、自由を求めて家を出ようとした祖母を祖父が殺害してしまう、というようなケースなのだ。それにこの映画を見ると、感覚的には女性の解放と女性の魅力の喪失とが比例しているように見えてしまい、男性としては困った事態になってしまう。まさか三代の女性の美の配分を計算してそのように見せているわけではないと思うが。(ネットで画像をチェックしてみたら、もちろんクローズはドヌーヴには及ばない十人なみの女優だった。彼女の1950年代風の衣装やヘアスタイルがそのように彼女を美しく見せていた、ということになる)

2009年 仏・加 ジュリー=ロペス・クルヴァル