僕の国、パパの国

 面白い。パキスタン人の父とイギリス人の母の間にいる七人の子供たち。父は子供たちをイスラム教徒として育てようと奮戦するが、マンチェスター現代っ子たる子供たちが素直にそれに従うわけがない。当然そこにさまざまな諍い事が起こる。イスラム文化とイギリス文化の断絶と、親子の世代間の断絶と、二重の断絶を巡る話。コメディー・タッチで語られるということもあり、アメリカなどよりもヨーロッパはまだ異文化というものに対して度量が広いように思われる。もともとパキスタンはイギリスの植民地インドの一部だったこともあり、パキスタンイスラムは総じて友好的にイギリス社会の中に溶け込んでいるように見える。この映画は二十世末紀に作られたものだが、世紀の換わりとともに状況も変化せざるをえなかったようだ。2005年にロンドンで起きたテロ事件の首謀者がパキスタン系イギリス人とされて以来、すこし風向きが変わった来たのか。
 パキスタンは何度か英連邦から離脱したり再加入したりということを繰り返したが、この後の2007年に今度は英国の方からコモンウェルス加盟資格を停止された。翌年には再び英連邦に復帰しているものの、英国在住のムスリムの苦闘はまだまだ続くのだろうか。

1999年 英 ダミアン・オドネル