野望の系列

 実に堂々たる政治映画であり、また広義の裁判映画(上院の委員会を舞台とする)なので面白かった。アメリカ人が今でもこれだけ公正であったのなら、TPPなどもまだ交渉の余地はあるというものだが、連中は内外で顔を使い分けるからね。
 三権分立の理想。日本ではこれがすでに二権分立(行政と司法が野合している)でしかないが、少なくとも60年代当時のアメリカでは表面上生きていた理想の制度だった。国家というものの暴走を防ぐに有効な牽制装置。しかし、この三権分立には二権化してしまうこと以外に、さらに落とし穴があったのだ。それは「金権」という第四の権力が、この三権を容易に篭絡してしまうことを、見えにくくしてしまうことだ。

1962年 米 オットー・プレミンジャー