ミスター・ベースボール

 この手の映画をいったい誰が見るのだろう。野球が出てくればなんでもいいという野球ファン ? あるいはトム・セレックのファン ? もしかしたら高倉健のファンか。しかしこの三種のファンの誰が見ても面白いとは思えない映画。日本野球の実戦シーンなどはなかなかのものだが、根本のストーリーが総て定型的で、想定内で話が進むのでまったく面白くない。トム・セレックは「警察署長ジェシー・ストーン」に出ている時などはいい味を出しているが、この映画では文字通り寸法の違う只のガイジンであるに過ぎない。高倉健演ずる日本人監督像は、「ブラックレイン」同様、相変わらずのデクノボーだし、第一寡黙な演技でなる俳優が英語を喋ってはダメだろう。娘をヒゲと胸毛の異人さんに盗られてしまうという、考えてみれば情けない役どころ。

1992年 アメリカ フレッド・スケピシ