マイ・ビッグ・ファット・ドリーム

 MY LIFE IN RUINS という原題が、なぜこのようなタイトルかというに、主演女優ニア・ヴァルダロスが「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」(MY BIG FAT GREEK WEDDING 2002)というヒット映画の女優であるから。彼女はこの映画の原作者でもある。つまり彼女の経験談を映画にしたもの。彼女は続いて「マイ・ビッグ・ファット・ライフ」(MY BIG FAT GREEK LIFE 2003)という映画も作った。「ビッグ・ファット」路線はこの二作でやめたが、海の向うの国に買われていった映画にどのようなタイトルがつけられるか彼女の知るところではない。しかし、三作ともトム・ハンクスの制作だし、ストーリーの型は共通しているので、「ビッグ・ファット」としてくれた方が分りやすい。
 ビッグ・ファットとは彼女の体型のことを言っているのだと思っていたが、その含みもあるだろうが、「大げさな」という意味の成句である由。となると、「大げさな」夢では、すこしおかしいような気もする。ヴァルダロスは、一種豪勢な美人であるが、年を取ったときの変貌を予想すると怖気立ってしまい、出した手も引っ込んでしまいそうだ。
 作中、「その男ゾルバ」へのオマージュがあったのは愉快だった。そういえば「ウェディング」で彼女の両親がやっているレストランは「ダンシング・ゾルバ」と云うのだった。

2009年 アメリカ、スペイン  ドナルド・ペトリ