コールド・バレッツ 裏切りの陰謀

 たまたま見たこの映画の舞台が、「ソフイアの夜明け」と同じブルガリアの首都ソフィア。原題がずばり「Sofia」。アメリカの娯楽映画だから「ソフィアの夜明け」みたいなブルガリアの現実はいらない。ただ殺し屋が安心して人を殺せるような暗い裏通りをだけ提供してくれればよい。例によって適当な副題はともかく、タイトルのバレッツの意味が分からない。調べて見たらどうやら「弾丸」という意味らしい。そう言えば22発の弾丸を受けて死ななかった男の話「バレッツ」という映画があって、以前それについて書いたことがある。原題の方も調べて見るとちゃんと「Sofia  assassin's bullet」という副題がついていた。それでもバレッツという言葉と銃弾が結びつかないのは、bulletは「ブリット」と読むものだと思っていたから。現に同じ綴りのbulletには「約物」の圏点(箇条書きの頭につける黒点)の意味もあり、こちらはビュレットと呼ぶ慣わしのようだ。
 映画はつまらないだけだが、せめて「釣りバカ日誌」ではないけれど、ロケ地への観光欲を刺激するような映画にして、ソフィアでやたらに人殺しをした罪滅ぼしに、ブルガリアに観光収入をもたらすような貢献をすべきではないだろうか。

2012年 米 アイザック・フロレンティー