サブマリン爆撃隊

 あまりに古い映画で、ケチのつけようなし。
 大富豪の御曹司、だが兵役を回避する気なしという奇特な男が、なぜか機関士という裏方に回り、なぜか幸運に誰のものでもない美女と遭遇して恋に陥るという話。昔のチャンバラ映画で、切られた人間が血も流さずに、次から次へと画面から消えてくれて、衛生的に映画が見れたように、この映画も銃撃を受けた人間は画面から消え去っていき、戦争映画なのに「死」も「苦痛」もどこにもない。
 一組の美男美女のキスシーンを見せるのが、この映画製作という労苦の目的らしい。こういうのを見て、キスというのはよほどに甘美なものだと思って育つ人がいたんだろうな。

1938年 米 ジョン・フォード