恐怖のメロディー
元祖、「危険な情事」。1971年に「ストーカー」を扱ったというのはかなり先駆的。この手のスリラーは被害者側をあまりマヌケにしないことが作品の質に直結すると思われるが、予想通りあっさり殺されてしまう刑事はアホとしかいいようがないし、イーストウッドも、アメリカなんだからマグナムでも持っていろよ、と言いたくなるほど無防備で、刃物を持ったキチガイに素手で立ち向かうので、あまりハラハラしてやる気にもなれない。
イーストウッド初監督作だが、テンポがイマイチ。私がもう少し若いうちに見ていたら、イーストウッドの長髪もうざったいと思わず、彼の衣装に心惹かれたり、あるいは現在の目からはおばさんにしか見えない女優たちを、美しいとすら思ったかも知れない。
1971年 米 クリント・イーストウッド