陪審員

 焦点がぼけた冗長な映画。裁判モノであり、マフィアモノであり、それに最近流行のストーカーモノである。結局ナニモノなのか良く分からない映画になっている。最後はグァテマラくんだりまで行って対決するのだが、なぜグァテマラなのか良く分からない(その村に友人がいることになっている)。いい裁判モノなら、ニューヨークだけでも、いや法廷の中だけでも、十分観客の興味をつなぎとめられるのに。
 裁判に勝つためには、証人を消すことや、陪審員を脅迫、買収することも厭わぬという、恐るべきはマフィア、しかしそのマフィアが全然恐怖感をかもし出してくれない。肝腎のストーカー(ひどく太ったのに、なおも自分の美貌を疑わないアレック・ボールドウィン)もストーカー特有の偏執的な異常さが出ていない。対決する女検事も本来はいい役どころなのに、間抜けな扱いを受けているだけ。

1996年 米 ブライアン・ギブソン