風とともに去りぬ

 今回、初めてまともに通しで見てみた。見ればやはり通俗小説であるに過ぎないが、このような小説を原作にして、巨額の制作費をつぎ込んだりできた時代はすでに夢のように遠い。アカデミー賞などアメリカの自画自賛に過ぎないから、どうでもいいようなものだが、それでも作品賞、監督賞、主演女優賞以下計九つのオスカーを得られたというのも、なんだか遠い昔の夢の様でもある。
 夕陽を浴び、シルエットになった樹の下で「二度と飢えない」ことを誓うシーンで終りだと思ったら、そのあとインターミッションと出たので驚いた。本当のラストシーンも同じく夕陽の中の樹の下なので、長いこと勘違いしていたらしい。ラストの方のセリフは「明日はまた別の日だ」であった。3時間42分の大作。黒人の使用人の扱いに随分未開の部分があるが、これでも原作にはもっとふんだんにある問題の部分(なにしろレット・バトラー以外の男はほぼ全員KKKのメンバーとしてあるらしい)をカットしたものだという。

1939年 米  ヴィクター・フレミング