エグゼキュティブ・デシジョン/ザ・ロック

エグゼキュティブ・デシジョン

 米本土の防衛か、旅客の命か。そのどちらかを選択する最終決断。娯楽映画である限り、なかなか旅客の命を犠牲にする選択は難しい。結局、その犠牲は必要なく米本土も防衛されるのだが、実際にこういう映画を見ると、米国はいつでもその決断に備える用意が出来ているように思える。人名最優先という原則にしがみつくだけの日本人は、一体どうするのだろう。
 米軍による、「今、そこにある危機」に対する内政干渉的な破壊行為。それに対抗したアラブのテロリスト(かのエルキュール・ポワロのデビッド・スーシェ)は単なる狂信者に仕立てられ、まんまと「退治」されてしまう。「エアフォース・ワン」のゲーリー・オールドマンと同型の処分。

ザ・ロック

 娯楽映画の投資はまさに蕩尽としての消費だ。これが「True Lies」のような低級な映画だと、こんなに金を無駄にしていいのか、という弱気な思いが兆すが、この映画はそんな気になる心配がなかった。つまり、面白かった。海兵隊にまつわる米軍の恥部を映画の中で明らかにしているところ(真偽は別にして)は本当にアメリカらしい。この映画に出てくるVSガス兵器は間違いなく米軍によって実際に保有されている。それをコントロールするのは大統領である。そして大統領とは、サンフランシスコの市民の安全のために、81名の人質の抹殺を決断することを強いられる職位である。
 ある日あるとき、その大統領が欧米世界と日本を比較考量して、後者の抹殺を決断(エグゼキュティブ・デシジョン)することも十分に考えられるのである。

エグゼキュティブ・デシジョン
1996年 アメリカ スチュアート・ベアード
ザ・ロック
1996年 アメリカ マイケル・ベイ