フェイク・ディール

 ビル・パクストンにマーク・ウォルバーグなのにこれが面白くない。劇的構成が弱すぎる。劇中の好事は登場人物の都合の良い能力により、逆事は登場人物の信じられないほどの愚かさによる。つまり、劇を盛り上げる要素となる好事と逆事の双方に、登場人物の能力を恣意的に配分している。だから、およそたくらみごとが成功してもそんなにうまくいくかい ? という疑念がまず生まれ、逆に失敗すれば、そんなことを見落とすかい ? という不審の念に囚われる。つまり劇的必然性がどこにもないのだ。必然性に拉っせられる否応ない快感ではなく、そんなしょうもない話するなよといいたくなってしまう嫌悪がのこるだけ。

1997年 米 ジャック・N・グリーン