デュプリシティ

 やたらと時間が前後した、入り組んだ話を解きほぐせと、頭を使うことを要求してくるこのような映画は、ジュリア・ロバーツの顔では楽しめない。スパイ同士にむりやり恋愛をさせ、かつ互いの不信感を愉しむというストーリーに、時間を小刻みに朔行させるこの編集手法は面白いのだけれど。ジュリア・ロバーツは、溌剌とした若い女性を演じているうちは魅力があったが、頭がいいです、美人ですというような役を演ずるために作られたその冷たくまじめな顔は、とても付き合いきれないような嫌味な顔である。

2009年 米 トニー・ギルロイ