敬愛なるベートーヴェン

 何もかもが、あらゆる面で、少しずつ滑稽な映画ではないか。敬愛なる、というタイトル自体すでに噴飯物だし(親愛なる、か敬愛する、かどちらか)、エド・ハリスベートーヴェンはやりようによっては悪くない線だが、結果的にはただの農民風の素朴な人物像の描出にとどまり、耳の聞こえぬ彼の代わりにヒロインがこっそり指揮して見せるところなど、泣かせどころなのだろうが、ただ滑稽なだけの感じだ。

2006年 イギリス/ハンガリー アニエシュカ・ホランド