私がクマに切れた理由

 ロラー・リニーは超絶的に美しい女優だと思うが、いつ見てもあまりしっくりこないのは、彼女のカン違いな演技のせいだと思う。(「トゥルーマン・ショー」で泣き出すシーンとか、「アメリカを売った男」での冷たすぎる女上司の役とか) これは演出家のせいでもあるのだろうか。この映画でも、急に自分の子供の価値に目覚めるという心境の変化の演技にまったく説得力がない。前半のダメな母親ぶりの演技がそこまで計算していないからだ。どうあっても改心しようがない単純にイヤな女の演技にとどまっている。しかし、それは彼女のあの美貌でイヤな女役をやるから、そのために美貌が滑稽なものに見えてしまうということが癪で、そのイヤさを過剰に受け止めているだけかも知れない。

2007年 アメリカ シャリ・スプリンガー・バーマン&ロバート・プルチーニ