アライバル

 B級SF娯楽映画。女性気象学者(リンゼー・クルーズ)が事件の解決に重要な役割を果たすシブい役どころかと思いきや、ベッドに蠍を放り込まれてあっけなく死んでしまい、B級映画的に無惨な死顔まで見せてしまう。彼女を初め、主人公チャーリー・シーンの周りの人間は実にあっさりと殺されるが、主人公はなかなか死なないし、殺される徴候すらない。事件の解決に貢献する渋い役どころは最後に登場した恋人(テリー・ポロ)が負うことになったが、作劇上これが効果的かどうかは疑問なところだ。エイリアンの侵略に対し、結局人類の英知が打ち勝つということを強調して、観客をうっとり安心させたいのなら、若いけれど頭の空っぽな美女より、少し年を取ってはいても充分魅力的な女性科学者にもっと活躍させた方が良いのではないか。ロン・シルバーは好きな役者の一人(「運命の逆転」でのユダヤ系法学教授という役どころは最高だった)だが、この映画ではエイリアンに扮し、最後は液体窒素でカチンカチンに凍ってしまう役なので、少しがっかりした。

1966年 米 デビッド・トゥーヒー