サウンド・オブ・サンダー

 以前見た「バタフライ・イフェクト」とかいう映画と同程度にひどい三流のSF映画だった。こんなものを見にわざわざ家族を引き連れて夜中に出かけていったことを後悔した。レイ・ブラッドベリの短編「いかずちの音」を元にした映画らしいが、ウェルズの原作によった「宇宙戦争」とは大違い。タイムマシンものだったら、まだ「タイムライン」のほうがましというもの。2055年という未来社会の景観を描くに、ありふれた想像力しか発揮されていないし、進化の道筋を外れた怪物たちの造形も陳腐極まる。「ジュラシック・パーク」では驚かされたCGによる恐竜の動きは、「ゴジラ」や「キングコング」で使いまわしされていたが、さらにまた本作で、もはや定型と化したCG技術の怠慢な再使用を見せられるとむしろ腹が立つ。もう元は取っているはずの投資でさらに収益を図ろうとしているわけではないにしても、CGがあればSF映画などすぐ出来る、とでもいうような安易性をそこに感じる。このCG技術はほとんど頂点を極めているので、これ以上を望むのは無理だという気もするが、そこにプラス・アルファがなければ観客は満足しないだろう。なんといっても役者も三流だし(自由自在の演技をみせるベン・キングズレーは別格として)。

2005年 アメリカ ピーター・ハイアムズ