昼顔

 カトリーヌ・ドヌーヴ24歳。大昔、公開時にスキャンダルとなった映画ではなかったか。今見るとそれなりに古めかしい。その頃映画雑誌の表紙を飾った彼女の名は、私にとって泰西の美女の代名詞となったくらいだが、不思議なほどリアルタイムでは彼女の映画を見ていない。あの当時に彼女のこれだけの裸身を見せられたらそれだけでクラクラしていたかも知れないが、幸いその過激が幸いしてか、学生であった私の目には触れないように遠ざけられていた。
 娘への性的執着を持つ公爵や、なにやら性の秘法を有するらしい東洋人や、マゾヒストの男、凶暴なチンピラなどの登場人物は、それなりに面白いが、不感症の女性への純愛と、性的放蕩を通してのその純愛への報復、というのも何度か見られる物語のパターンではある。そこでは性というものが人生を異化し刷新する機能として現れるのだ。

1967年 仏 ルイス・ブニュエル