狼は天使の匂い

 ヘンな映画。だれる、だれる。フランス映画だからしょうがないな、と思っていたが調べてみるとアメリカ映画だった。監督はルネ・クレマンだし音楽はフランシス・レイだし、ただのオッサンにしか見えないロバート・ライアンがフランス語をしゃべっているし、誰が考えてもフランス映画なのだが。アメリカ映画という情報は「Goo映画」から得たものなので、念のために「Allcinema」で見ると、何だちゃんと、アメリカ/フランスとなっている。製作年は前者1973年としているが、こちらは1972年。全くネット情報は二重、三重にチェックすべし、である。
 とにかく、俳優の身体の放つエロスがないと(あるいはそれを感受するセンサーが老朽化してしまうと)映画とはかくもつまらなくなってしまうものなのか。身体、身のこなし、声、あるいは身にまとった衣服、このようなものが生への誘惑を伴って現前しなければ、映画はただ間延びした反復的物語に過ぎなくなる。「プロフェッショナル」(1966)を見ていた頃の年齢では、ライアンのキャメル色のランチコートにそのエロスを感じることが出来たのだが。

1972年 アメリカ/フランス ルネ・クレマン