ため息つかせて

 先日物故したホイットニー・ヒューストン主演の映画。彼女を始め主人公たちはすべて黒人で、白人は完全に脇にのけられている。しかも出てくる黒人は弁護士であったり会社社長だったりとエリートが多い。離婚して会社の秘書(白人)との恋愛に走る男。一方中身のないアホな若い黒人の男も白人の娘を家に連れ込んでフェラチオをさせたりする。この映画では黒人同士がかなり気軽に性交渉を交わしていて、全体的に性に関するタブーの観念は薄められているとはいえ、少しショッキングなシーンではある。 監督はフォレスト・ウィテカーだが、彼が良く演ずる無意味なことを延々と喋り続ける男の、まさにそのおしゃべりのような映画で、ストーリーは要するに女たちの気ままな自分本位の生き方、実にアメリカ的なあっけらからんさの、だらだらとした肯定としかいいようがなく、退屈で途中で寝てしまった。同年制作の「ジャンクション」と合わせて見ると、アメリカが白人と黒人の融合を通り越して、黒人による白人の(性的)支配へ逆転したことが、あたかも現実であるかのような錯覚に囚われる。1995年に何があったのだろう。この年、野茂が大リーグにデビューし、アジア人のプレゼンスを示したが、後に性的スキャンダルを起すタイガー・ウッズが初めてマスターズで優勝し黒人のプレゼンスを示すのはまだ2年も先の事なのだが。

1995年 アメリカ フォレスト・ウィテカー