旅路

 デボラ・カーが出ているというので見てみたが、なかなか出てこない。彼女の作品は「黒水仙」と「めぐり逢い」くらいしか見ていないのだけれども、出てくればその顔は分るはずだ。バート・.ランカスターの元妻役がそうなのかと思い、こんな顔だったっけ、と思いながら見ていたが、それは実はリタ・ヘイワースで、デボラ・カーは引っ込み思案のハイ・ミスの女性のほうだった。地味なつくりの役なので全く気づかず、なんとなく腕の長い女性だなあと見ていただけなのである。それにしてもリタ・ヘイワースと間違えるなんて。と言ってもリタ・ヘイワースのほうこそ「ギルダ」をチラリと見ただけなので、無理もないといえば無理もない。もっとも「ショーシャンクの空に」や「マルホランド・ドライブ」で、彼女のポスターはたっぷり見ていたのだけれど。
 ところで、この二人病魔に犯された点で共通している。デボラ・カーは晩年パーンキンソン病に、リタ・ヘイワースは40代でアルツハイマーになった由である。恐ろしい。デボラは86歳まで生きたけれど、リタは68歳で没した。

1958年 米 デルバート・マン