バレンタインデー

 10組のカップルのそれぞれのバレンタインデーを描く、というけれど10組が10組とも、女性が皆同じように能天気で同じように自分勝手なので、10組も見せてくれなくともいいと感じる。状況を違え、職業や年齢を違えてみせても、とどのつまり全部同じに見えるのだ。まあくだらないといえばくだらない映画。真面目な顔をすると全く魅力のないJ.ロバーツを筆頭に、皺くちゃ婆さんのS.マクレーンや、もはや女性ではないK.ベイツ、やたらに筋肉質の女性、やたらに目の大きい女性、などなど、特徴のありすぎる女優が、単純な女を演じているのでなおさら、魅力を感じない。むしろゲイをカミングアウトした男のその相手の男(ロバーツの飛行機での相客)にその人格の陰翳、という点で魅力を感じてしまいそうになった。アメリカにゲイが多いのも無理からぬことか。

2010年 米 ゲイリー・マーシャル