裸の診察室

 原題は多分「ブラウン運動」(brownian movement)というものらしい。しかし邦題は完全に只のポルノ映画。しかして映画の内容は、ポルノ映画だったらむしろそのほうが良かったというくらいのもの。一つ一つのショットが無意味に長すぎて、私などは到底我慢が出来ず、全編早送りで見てしまった。性的オブセッションを持つ妻を辛抱強く理解しようとする奇特な夫の話。主演が、サンドラ・フラーという、グィネス・パルトロウの鼻をまるくしたような、魅力的な女優なのだから、そのオブセッションで破滅していく人間の話にしてくれたら面白かったのに。この映画を端的にアダルト映画に分類してしまう日本と、ほとんど無化に近いほど人間化してしまうオランダとの間の深い断絶。

2010年 オランダ ナヌーク・レオポルド