フォース・エンジェル

 主人公(ジェレミー・アイアンズ)が、たまたま遭遇したハイジャックで妻子を殺されてしまう。そのハイジャックの背後に、なにか大きな政治的陰謀があることを匂わせるのだけれど、その陰謀が何なのか良く分らず。CIA職員が身代金欲しさにロシア・マフィアと結託して仕組んだだけの話にしか思えないが、それだと期待させた割にはあまりにセコすぎるし。とにかく思わせぶりなだけの話で真面目に考えると損するだけのような気がする。最後には電車の中でいきなり銃撃戦が始まったりして、結局ワケが分らない。第四の天使だかなんだか、黙示録から引用しているのも思わせぶりで癪に障る。そもそも黙示録などというのが思わせぶりだけの、ほとんどトンデモ本なのだから仕方がない。なんでも地球上の人間の三分の一を殺してしまう使命を帯びた天使らしいが、変な天使もいるものだ。自分の妻子が殺されたからといって、その報復が人類の三分の一の生命とは恐れいる。それでも神の御心に沿えばキリスト教徒は救われるのである。まだまだ第七の天使までいるらしいから、今後もネタに困ることはないだろう。
 手足のたたずまいが優雅なジェレミー・アイアンズ、肩の上に頭が六つも並ぶくらいに肩幅が広いフォレスト・ウィテカー(この名前を日本語版予告編では、○○ってか、という風な吉幾三的イントネーションで発音していた)など、とにかく彼らはパノラマ的( ? )体格なので映画に向いている。それにしてもシャーロット・ランプリングは全く意味のない配役だった。主人公にしたり顔で人生の教訓を垂れたりしているが、殺戮の天使に人生の教訓を垂れてもな。
 全くのダ作です。

2001年 カナダ・イギリス ジョン・アーヴィン