ずっとあなたを愛してる

 最後に意外な真実が明かされて衝撃を受ける、これは推理小説に限らず、物語/映画一般から受けることの出来る快感であるが、しかしこの映画では、子供を殺した理由を最後まで引っ張らずに途中で明かしたほうが良かったかも知れない。全体的に坦々としたタッチで作っているのだから、劇的効果を狙って最後の最後に明かす必要は全然ない。最後まで引っ張ろうとしても、ヒロインが医者であることが明かされた時点で、これは安楽死であると見当がつくのだから、「衝撃の」真実が明かされた、ということにはならない。最後の軽いタッチの音楽が似合わないのも、むりやり劇的構成にしたためである。結末を劇的に作ったのなら、例えばバッハの音楽でも流さないと、エンディングというものを受け止めることはできないだろう、と思うのだが。それにしても感覚的にすっきりしない映画にばかり出会うのは、「共通感覚」というものが失われた時代では致し方ないことか。多分映画製作の現場ですら、この感覚は消滅しかかっているのだろうと思われる。

2008年 仏 フィリップ・クローデル