エアポート80

 「 男はつらいよ」「ハリー・ポッター」はいざ知らず、シリーズ物というのは、回を重ねるごとに質が低下していくのが相場だ。本「エアポート」シリーズは、「バック・トゥー・ザ・フューチャー」同様、その劣化していくシリーズ物の典型で、4作目の本作はついに駄作になってしまった。本作の後にも、邦題で勝手に「エアポート」の冠をつけ、あたかも同シリーズのように見せかけた映画はざっと9本ほどある(「エアポート’99〜2005」、および「エアポート ユナイテッド98」など)が、それらは論外として除外する。
 そもそも整備士だったはずのジョー・パトローニがなぜか機長になってしまっている時点ですでにアウト。もちろんジョージ・ケネディーは機長としてもいい味は出しているが、シリーズ物としてはルール違反。某軍事会社の秘密を握ったニュースキャスターを抹殺するために、彼女の登場したコンコルドをミサイルで撃墜しようとするという話はまだいいとして、問題はコンコルドがそのミサイルをかわし乗客は無事だったというものの、その件で世間は別に騒いでいない様子であること。現実であれば天地がひっくり返るほどの騒ぎになり、事件が究明されるまで乗客は留め置かれ、コンコルドは就航禁止となるだろう。九死に一生を得た乗客たちも、これを限りにコンコルドとは縁を切るかと思いきや、また平然とパリから乗り継いでモスクワに向かう。一体何を考えているのか。すると今度は案の定(正体不明の)戦闘機に襲われることになってしまう。あまりに荒唐無稽な話なので、ハラハラしてあげる義理もなくしてしまった。アラン・ドロンとシルヴィア・クリステルだからそっち方面の映画にしても良かったが、全員英語で会話を交わすこの映画で、Je t’aimeと I love you とでは微妙に語感が違うようだ。フランス人的享楽が、I love youと言った途端に、何か道徳的burdenを負わされてしまうのだ。

1979年 米 デイヴィッド・ローエル・リッチ