世界侵略 : ロサンゼルス決戦

 太平洋戦争初期に日本海軍の潜水艦が米本土の西海岸を砲撃した。そのとき日本軍の上陸を恐れた米軍が、空襲と誤認して応戦に混乱を来たした。その、いわゆる「ロサンゼルスの戦い」を題材としていることは興味深いが、となると日本軍の延長線上に、地球侵略するエイリアンを置いているわけで、あまり面白くない話である。「猿の惑星」の猿は実は日本人を表わしている、という某氏の説も、こうなると肯かざるを得ないのか。
 ともかくこれはSF映画というより、アメリカの自国の軍事力の意義を自問自答しているような映画だ。あたかもイラクアフガニスタンでの武力行使が、地球に侵略するエイリアンとの闘争と同等であると、自国民に対して感情教育をする効果がある映画。現在じわじわと煮詰まっている、イランへの武力行使までの「端境期」に、米軍の存在意義のアピールにこれ努めているのだ。ひ弱なエリート中尉や、豪胆なたたき上げの軍曹や、兵隊たちのたわいない日常の描写など、全て定型的で退屈、最後まで興味を持続できず、眠ってしまった。

2011年 米 ジョナサン・リーベスマン