闇討ち

 女優たちのアクションと特撮はそれなりに面白いが、結局は脳内幻想だとあらかじめ知らされているので、別にスリルがあるわけではない。闘争の勝敗が未知のものとして宙吊りにされている訳ではないから、どんなに彼女たちのアクションが超人的でも(超人的であるだけにかえって)すでに知りつくしたゲームをプレイしているような退屈な感覚しかない。早くそんな戦闘シーンは終わらせて、ヒロインがロボトミー手術をされてしまったのか、それともそれを免れえたのかということを知りたいだけになる。それだけのことにわずかばかり残っている興味が集約される、そんな跼蹐した状況下で映画を見せられても全然楽しくない。
 「ふくろうの河」(1961年、原作アンブローズ・ピアス、ロベール・アンリコ監督)、および「未来世紀ブラジル」(1985年)などと同趣向の映画。これらの先行作品では現実は悲劇で終わるが、本作はただ一人だけ病院から脱出できるというわずかばかりのハッピー・エンドになっている。

2011年 米 ザック・スナイダー
Sucker Punch
邦題「エンジェル・ウォーズ」