来たりて楽園を見よ
いくら「もののあはれ」に親しむ国民性とはいえ、「愛と哀しみ」という言葉が冠せられた邦題の映画が多すぎる。
愛と哀しみのボレロ Les Uns et Les Autres 1981年 フランス
愛と哀しみの果て Out of Africa 1985年 アメリカ
愛と哀しみの旅路 Come see the paradise 1990年 アメリカ
ショパン 愛と哀しみの旋律 Chopin desire for love 2002年 ポーランド
邦画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ ! 」(2007 吉田大八)は、未見の映画だが、あらすじを見ると、このジメジメした日本がいささかドライになっていく兆しのような気がする。しかし、それはそれで決して望ましい風土の変化とも思えないのがつらい。
「―の旅路」は、太平洋戦争時の在米日系人の苦闘の物語。この地上に楽園が存在するという幻想はなかなか消滅しない。来たりてアメリカを見よ。来たりてソ連を見よ、北朝鮮を見よ。