それから

 みたび言う、タイトルで内容を「説明」しようとするのはやめてくれ。小さな親切大きなお世話。
 マルコヴィッチの要領を得ない応対振りに、話が進むに連れて苛立ちが募り、このオランウータン男の胸倉をつかまえて、さっさと核心を言えよ、と問い詰めたくなってしまう。ラストで彼のその煮え切らない態度の理由が分かるのだが、意外性のロマンをかもす、あるいはただドンデン返しを見せたいがために、登場人物の言動をミスティファイするというのは作劇上どうか。メッセンジャーだかなんだか知らないが、死ぬのにそんなにジタバタするつもりがない人間にとっては、ただのつまらないまやかしとしか思えない。第一その役目を果たせる相手は旧知の人間だけであって、行きずりの人間の死を予知しても何も出来ないと言っているではないか。「愛でも喰らえ」というのが感想。

2008年 ドイツ・フランス・カナダ ジル・ブルドス
afterwards
邦題 「メッセージ、そして愛が残る」