新・泥棒株式会社

 映画という娯楽作品は結構古びるのが早い。「笑い」というものは常に新奇さを追いかけているものなので、とりわけ喜劇映画が一番古びるのが早いような気がする。この映画のつまらないこと、殆んど殺人的である。なぜこれを面白がれたのか、面白がれた時代がなぜあったのか、不思議に思えてくる。喜劇映画としてのユーモアもギャグも通じないので、もしかしたらシリアスな映画なのかと思い、イギリスでは泥棒も警察もノンキ至極なのだなあ、とリアルに受け止めたくなってしまう。そもそも原題がThe wrong arm of lawというマジメなものなのだ(これは、「汚れた手には法の救済がない」と解釈するらしいが、「法にも過てる一面がある」の方が正しいと思うのだが)。
 ピーター.セラーズの演技が眼目だったのに、超真面目でも超ヘンでもない普通の演技。おまけに他のギャングに通ずる裏切り者の女(ナネット・ニューマン)がこれまた不作で、セラーズ・ファンとして買ってしまったDVDだったが、ブックオフに直行。

1962年 イギリス クリフ・オーウェン