プロヴァンス物語 マルセルの夏

 オープニングではプロヴァンスの詰屈とした風景に軽快な音楽が流れ、久しぶりに映画を見る快感が味わえるような予感がしたが、始まってみるとあまりにたわいもない話で、つまらなかった。私からは少年の心というものが徹底的に失われているらしい。20世紀初頭、世界大戦前夜に、このような生活を送っていた人間たちがいたことが信じられない。それにハイヴィジョンだか地デジだかで、せっかく画面が鮮明になっているのに、オーラを感じさせる役者がいない。

1990年 フランス イヴ・ロベール