昼下がりの情事

 afternoonを「昼下がり」と訳すほど、そしてloveを「情事」と訳すほど優雅な時代の映画だが、私の目には、ゲイリー・クーパーがただの爺さんにしか見えないので、恋愛映画として楽しめなかった。クーパーは煮え切らないガンマンでもやっているのが一番よく似合う。それに、プレイボーイに恋した淑女が自分もプレイガールを装い、相手を嫉妬させるという手口がいかにも古臭いし、その古臭さの上にいくら機知のある会話を積み上げても、芝居じみて聞こえる(芝居だから当然だが)だけ。調べてみたら出演時、クーパーはまだ56歳だった(享年60)。ヘプバーン28歳。

1957年 アメリカ ビリー・ワイルダー
Love in the afternoon