十三人の刺客

 工藤栄一監督の同タイトル映画(1963年)のリメイク版。
 力作であり、山田孝之などなかなか面構えのよい俳優も出ていた。二百名の敵を弓と火薬で百二十人ほどに減らし、勢力が十対一ほどになったところで白刃戦になる。これは剣戟を見せるにはいい展開だが、勝負としてはどう見てもムリ筋であり、もう少し弓と火薬で敵を減らすのが上策ではないかと思う。この十三人の刺客が必ずしも武士道の形式に囚われていないことは示されているのだから。それで精一杯剣戟を見せて、映画として面白くなるのかと聞かれたら、やはり難しいと答えるしかないか。暗殺計画は半ば公然と進められ、落合宿の要塞化も堂々と進められるので、明石藩に筒抜けではないかと心配した。途中密かに手勢を増やした鬼頭半兵衛はなぜ道筋に沿った偵察を早くに出さなかったのだろうか、という風にシロウトが見ても作戦上の不手際が目について気になる。本作の主要キャラである松平斉韶(なりつぐ)の最期を描くに、「痛い」とか「怖い」とか言わせて戯画化せずに、あくまで怪物で通したほうが良かったと思う。稲垣吾朗の熱演もその方が遥かに生きるのに。

2010年 日本 三池崇史