ビリー・バスゲイト

 再見。ほとんど内容は忘れていた。ニコール・キッドマンやブルース・ウィリスが出ていたことすら忘れていた。もちろんスティーヴ・ブシェミなども。それほど小男ダスティン・ホフマンの凄みが印象的だったのか。キッドマンはフルヌードで出ていたにも係わらず、記憶の片隅にも残っていないというのはどういう訳か。
 ダッチ・シュルツと言えばティム・ロスの演技が印象的だが、ランスキーやらバグジーやらいろいろ映画がありすぎてゴチャゴチャしているので、映画別に一覧表にして整理してみたりした。この三人が映画化されること、恰も本邦の国定忠治か次郎長みたいだが、もちろんアメリカのギャングには任侠道はない。
 ダッチの手下の殺し屋に扮したブルースの、ロープに縛められたときに見せる厚い胸板に驚くべきである。西部劇でのカーク・ダグラスのそれに熱い衝迫を受けたときのように。
 肉体的衝迫がなければ映画は只の懶惰な娯楽に過ぎない。

1991年 米 ロバート・ベントン