ミラル

 パレスチナの孤児のために学校を作ったヒンドゥという女性の、偉大というもおろかな英雄的行為を描く。人類に希望があるとしたら、それは確かに教育であるが、壟断されている民族に教育を与え、復讐ではなく共存の道を見つけさせるという営為は、敵からではなくむしろ味方からの非難、迂遠であるという非難に常に堪えなければならない。そして、それは世界という闇を信じず、自らの手元にある蝋燭のか細い光を頼みにするような、心細い行為である。ヒアム・アッバスという女優によって演じられたヒンドゥ・ホセイニのdeterminedというべききっぱりとした態度に心惹かれた。

2010年 仏・イスラエル・伊・印  ジュリアン・シュナーベル