ホワイトナイツ  白夜

 ジェラルディン・ペイジ、ヘレン・ミレン、イザベル・ロッセリーニ、と女優陣が結構豪勢。
 そしてKGBの大佐に扮した味のある男優は、映画監督でもあるイェジー・スコリモフスキという風。彼が、バレリーナの亡命を阻止できず、万事窮したと見ると、一転してソ連の外交的宣伝にこれ努める様はさすがである。日本人にはこれが出来ない。潔さに美徳を求める武士道を信奉しているから。日本人の美点でもあり、弱点でもあるもの。ソ連―ロシアは戦争に負けて外交で勝ってきた国であるとは言え、したたかである。日本もこと外交では他国に潔さなど期待してはいけない。
 おそらくいくつかある終結のオプションのうちハッピーエンドを選んでくれて助かった。そのハッピーエンドもご都合主義のいい加減なものではなく、あくまでもドラマツルギーは重厚である。まだ若い頃のヘレン・ミレンが見れて得をした、と思ったが若いと言っても調べたらこのとき彼女は40歳になっていた。さらに若い、過激な頃の彼女も見てみたいものだ。

1985年 アメリカ テイラー・ハックフォード