噂の二人

 メアリーという少女の悪役ぶり。子供ながらにして、まるで尼崎事件を思わせるような他人の支配ぶりを見せる。他人の弱みを握り、脅して自分の言いなりにさせるという手法。本作はカレン・バルキン(13)という子役で、ふて腐れた顔が十分憎たらしいが、同じ原作でワイラーが最初に作った「この三人」という映画では、ボニータ・グランヴィル(12)という子役が扮して、その憎たらしいことカレン以上だったらしい。写真で見るとボニータはカレンより美形なので憎たらしさも一入だったことだろう。ヘプバーンが恋人のジェームズ・ガーナーにむりやり自分の事を質問させ、それで結局自分を疑っていたとして、そのことを責めるのはいかにも西欧人の仕方である。日本人なら同じ人間同士として、理解し合い許し合うところ。また謝罪に来た老女を剣もほろろに追い返すが、ここも正直に判事に言い、判決を取り下げさせたことだけは感謝したいところだ。

1961年 米 ウィリアム・ワイラー