ホワイトハンター、ブラックハート

 「アフリカの女王」撮影時のジョン・ヒューストン監督を描くのだから興味津々のはずなのだが、アフリカに行く辺りですでに眠くなってしまう。なぜ皆がこのわがままな監督に振り回されてしまうのだろうか。映画に出演したり出資したりする前に、監督の性格も知っておかないとこんな大変な目に会う。「アフリカの女王」は結果的には高評価の映画になったので、ますますヒューストンの高慢の鼻が高くなったことだろう。
 ヒューストンに監督イーストウッドが自ら扮したが、イーストウッドはどちらかというと、無口で渋面のまま、イロニカルな科白をひとこと言うような役が似合っている。この映画のように、おしゃべりで笑顔まで振りまくような男に扮すると、なんだか科白がスカスカだし、笑い顔もヤニ下がっているだけだ。

1990年 アメリカ クリント・イーストウッド