幸せの隠れ場所

 実話であるこの話に見るあまりにストレートな人間の善意というものに驚く。この善意は、やがてかの不良たちが白人夫婦を襲撃して彼等の生活を破壊してしまうことの可能性を排除できない。つまり無惨な悲劇になる可能性がある。現実はしかし人間の善意がうまく機能してしまったのだ。デンジャラス・ビューティーのサンドラ.ブロックが危険地帯である公営住宅地に行く。これはミスキャストではないか。それとも彼女だからこそ、観客の心に不安が醸されるのだろうか。実際の人物はどちらかというと、本作に出ていたキャシー.ベイツに近いのだが。世界が生きるのに値するかどうかが、このように裕福な人間たちがやむにやまれず発揮する「善意」にかかっている? まさか。

2009年 米 ジョン・リー・ハンコック