裸足の伯爵夫人

 古き良き時代、上品でエロティックな邦題があった時代の映画なのだが、ただしこの邦題は原題を忠実に翻訳したもの。
 しかし見てみると、ハンフリー・ボガートは貧相だし、エヴァ・ガードナーも騒ぐほどの美人でもないし、性的フェロモンだけが売り物の若きロッサノ・ブラッツィが、どうしたことか今回は性的不能者の役。どうにも見どころが見出せない映画だった。一応最後まで見たのは、この頃の、古い映画に対する礼儀のようなもの。プロデューサーに扮したエドモンド・オブライエンがアカデミー助演男優賞を取ったと後で知った。そうと知っていれば彼の演技に注目するという見方もあったのだが、これといって生彩のない他の出演者同様、スルーしてしまっていた。

1954年 米・伊 ジョセフ・L・マンキウィッツ