エンド・オブ・ホワイトハウス

 「スカイフォール」などよりはるかに話のスケールはでかい。かの007最新作は、鳴り物入りで登場した割には、組織に切り捨てられたマザコンのエージェントが、女長官に復讐するという、ちょっとみみっちい話だった。まあ、アデルの歌とダニエル・クレイグのクールさで見せる映画にはなっていたけど。
 こちらは北朝鮮のテロリストにホワイトハウスを制圧されてしまうという話で、天下御免のならずもの国家と、痩せても枯れても自由社会の盟主アメリカの対決という、スケールとしては十分な話。韓国の大統領ならぬなぜか首相(合衆国大統領のカウンターパートなのだから当然韓国も大統領のはず。そこまで大統領を敬遠する理由は一つしかないけれど)があっさり殺されてしまうが、泣き顔になって惨めに死ぬので、イチャモン国家韓国がなぜこの映画に因縁づけをしないのか不思議だ。そんなことより、アメリカの核兵器が全て無効になり、自由社会の危機が目前という話なのに、日本なんかニの字もてでこない始末(ただ第7艦隊のいる日本海域、として出てくるだけ)。集団的自衛権でもめている国など相手にしているヒマはないというより、確かに日本とはすでに国名ではなく地名に過ぎなくなっていることを実感。
 娯楽映画として楽しめるが、在韓米軍と第7艦隊が撤退すれば、北朝鮮とその背後の中国がせり出してくる、というところは真面目に考えておくべき映画だ。
 同じ年に「ホワイトハウス・ダウン」という似たような映画が作られている。この映画はまだ見ていないけど、同じ年に2回も「難航不落」と言われるホワイトハウスを制圧させるなど、内政ばかりにかまけているオバマ大統領に対する警告ででもあるのだろうか。

2013年 米 アントワーン・フークア