オーストラリア

 なぜか見る前から嫌な予感がして、見るのを避けていた映画。男優・女優ともそれほど好きではないし。男優は最近ただの筋肉標本のようになってしまって色気がないし、女優も昔は絶世の美女の一人と思っていたのに、最近はヘンな顔に見えて仕方がない人。
 町山智浩氏がこの映画の悪い点を指摘しており、それを聞いてやはり見なくて正解、と思った。
 その悪い点とは歴史の偽造。なんと先の大戦中、日本軍がオーストラリアに侵略し ( ! )、さらにアボリジニを殺害した、としている。アボリジニを殺戮したのはオメーラだろ、と町山氏はツッコミを入れるが、この「おめーらだろ」とツッコミを入れたくなる事象は山ほどある。

共通点は自ら行なった残虐行為を、他者が行ったこととし、さらに自らを被害者に擬する精神病理学的作為。あるいは厚顔きわまる政治的策謀。

三光作戦」 →それはおめーらの指導者毛沢東が自国の農民にしたことだろ !!
 「南京大虐殺」→それはおめーらが通州で日本人にしたことだろ !!
従軍慰安婦」→それはおめーらが米軍相手にした「第五種補給品」のことだろ !!

 また8月15日近くなると、反日活動家がうごめきだすが、去年の夏にぶつけられた「終戦のエンペラー」は、録画したまままだ見ていない。早く見終えてケチョンケチョンにしてやりたいが、それも憂鬱で見る気になれずにいる。「オーストラリア」はアチャラカ大活劇だから、そこで歴史の偽造をされても冗談で済ませられるが、「終戦のエンペラー」は史実に忠実にという体裁をとって、そこにウソを混ぜるからタチが悪い、と町山氏は言う。
 「終戦のエンペラー」と言えば、ハリウッド版「ゴジラ」の予告編で、デビッド・ストラザーンより背が高い渡辺謙を見たとき、終戦直後、マッカーサー昭和天皇が並んで撮影された写真から受けた日本人の衝撃が、すこし癒されような気がした。